本文へスキップ

行政書士試験相談室は、行政書士試験の短期合格を指導する中川総合法務オフィス運営の専門指導室です。

TEL. 075-955-0307

〒617-0812 京都府長岡京市長法寺川原谷13-6

行政書士試験「合格の秘訣」

出題意図はどこにあるのか

 行政書士試験は、いかなる方針のもとに試験がなされているかはすべての受験生が勉強の方向性を自分自身で知るために不可欠なことです。この理解がないと、時流に流され、ひどいときは間違った指導を受けて全く合格しないことになってしまいます。それを知るためには、平成18年から始まった現行の新行政書士試験への変更時に総務省が発表した新試験の意図を理解するのが一番でしょう。
◆「総務省の改正指針」ポイント
…業務分野が多岐にわたり特定されないという行政書士の業務の特性を踏まえつつ、行政に関する手続の専門家、権利義務に関する私人間の契約書作成等の専門家、司法制度改革に伴って活躍が期待される隣接法律専門職種としての位置付け、電磁的記録の作成業務が行政書士の業務として新たに追加されたこと等の観点から、
(1)法令等科目について、法令の知識を有するかどうかのみならず、法令に関する理解力、思考力等の法律的素養を身に付けているかをより一層問うこととすべく、出題法令を限定する。
(2)(1)と同様の趣旨から、試験時間を拡大するとともに、法令等科目の出題割合を増大する。
(3)電磁的記録の作成業務の追加及びその業務等に係る個人情報の適正な取扱いの要請に鑑み、「情報通信・個人情報保護」を出題分野として明示する。
(4)「情報通信・個人情報保護」の明示に伴い、行政書士の業務に関連する知識につき、出題範囲を明確化する。
 このような方針の下で、現行の試験科目や出題形式に変更されたのです。特に、法律科目での変更が大きく、行政法の出題範囲を明示したことと「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」「労働法」及び「税法」が削除されたのです。


記述式の重視は国が強調していた

CEO

記述式についての総務省の言葉
 「法令科目についての論述問題は、受験者の法的思考力、論理的思考力、文章表現力等を総合的に判定する手法として効果的な出題形式の1つであると思料します。センターにおいても、受験者の負担や受験年度間の公平性の確保にも配慮しながら、記述式についての出題のあり方について可能な範囲での見直しが検討されています。」
 このような考え方から、新試験の記述式の高配点と難易度のバランスが出てきているのです。具体的にいいますと五肢択一式は40問で配点が160点(1問4点)です。ところが記述式はわずか3問で60点(1問20点)です。記述1問で、択一5問に相当します。これは配点でのパーセントで言いますと、法令の中では約25パーセント、全体の中でも約20パーセントの高配点なのです。40字ほどの記述の3問ですが、非常に重視されています。
 これまでの本年度の試験結果からも、ここで3問中1問以下しか答えられなかった受験生は合格するのが非常に困難になっています。民法と行政法の出題が主ですが、記述式ではある程度の深い法律の理解が試されますので、生半可な勉強でマスターできるレベルの試験科目ではないのです。また、民法は宅建試験等よりは難しいと思ってください。


「憲法」攻略ポイント

 行政書士試験で「憲法」は、重要な得点源です。条文は100条ほどしかありません。一つ一つの条文の立法趣旨をしっかりと押さえていきましょう。
 基礎的知識面では、総論と基本的人権、統治機構をバランスよく学習しておくことです。
 そして過去問題で、出題のパターンを習得しましょう。
 次に判例がよく出ます。「表現の自由」関係が一番多いです。
 ここで重要な変化があります。 
 ⇒判例は、近時は税理士事件のように判決の原文が長文で出題されることもあります。つまり判例は、司法試験と同じように要約だけでなく重要判例は原文に当たる必要があるのです。しかも、平成19年からはいわゆる条文の穴埋めのような簡単な問題は消えました。これは、司法試験や司法書士試験レベルまで難しくはならないかもしれませんが、最高裁判例を素材にした学説等の理論問題も出題されてきています。憲法は、条文読んで数問ゲットするといった安易な勉強は慎むべきときに来ているでしょう。それではとても、合格点には達しませんよ。


「民法」攻略ポイント

(1)民法の学習では民法体系の中で最も重要な「民法総則」を、基本事項と条文を中心にしつつ、学習することが大切です。
 民法総則の法律行為論は法律の学習全体の中でも非常に重要性が高く、意思主義を基本としながら取引の安全のために意思主義がどのように修正されて行くかの利益衡量が最重要ポイントになります。
 また、他の法分野と同じく民法においても判例は法源として機能しています。ここでは、大審院の判例でも生命のあるものが多くあります。
(2)次に民法の物権・債権の権利体系の一方の柱である「物権」は、なんといっても物権変動論が最重要です。
 「物が譲渡される」ことは人間生活で普遍的にあることです。市民生活で日常的に繰り返されることに対して、私法の一般法である民法がどのように法規制しているかは非常に重要で他の法分野でもこの民法の規制を前提として法規制がなされています。
 私の実務の専門の知的財産権や著作権などの知的財産法の規制も総てこれが基本になっています。
 また、担保物権法では抵当権を中心に譲渡担保などの非典型担保を一通り理解しておく必要があります。
 「金融法」という分野で、債権法との結びつきが強く債権の履行の確保のために担保物権がどのように機能しているかを学習します。
(3)「債権総論・債権各論」は最も時間をかけて学習したいところです。
 債務不履行や債権譲渡、弁済の提供、同時履行の抗弁権の法概念と実際の機能や13種類の典型契約のうちで売買と賃貸借はしっかりと具体例で理解しましょう。
 借地借家法もやっておきます。但し、司法書士試験のように借地借家法単独での出題は新制度でもありませんが、今後は分かりません。不法行為は丁寧に判例をフォローします。
 平成19年の行政書士試験の記述式はこの分野から「金銭賠償の債務不履行の特則」が出題されました。
 一般の債務不履行の原則を踏まえた上で、金銭債権の特殊性から民法の規制がどのようになっているかをしっかりと学習しておいた受験生は大丈夫だったはずです。
 もちろん、行政書士試験相談室では繰り返し取り上げていた重要論点でした。正答率は高かったと思います。
(4)「親族法・相続法」は、離婚、相続分、遺言、遺留分などの重要単元を中心に学習します。
 手薄になりがちな分野ですが、毎年1題が出ます。例えば、平成19年行政書士試験は法定相続の問題、平成21年度は相続欠格と相続人の廃除が出題されています。
(5)行政書士試験の民法でも「判例」を参考にした出題は多いのです。例えば、平成21年度は、転貸借契約についての最高裁重要判例が判決文の穴埋めでそのまま出ました。これは、司法書士試験等の国家試験ではなじみの判例です。
今後ともその傾向は続くでしょう。
⇒平成18年度以降の新試験では、民法もカンタンな条文問題は少なくなっています。
 特に平成19年度の記述式で金銭債務の特殊性を聞いてくるとは多くの受験生は予想をしていなかったと思います。
 今後は、このような記述式をまさか捨てろという法律家はいないと思いますが(かっては民法をさかんに捨てろという指導者がいましたが)、配点が大きく実力がモロに出る記述式は受験生の学習の剣が峰になるでしょう。
 条文もろくに載っていないまとめテキストで学習することはやめましょう。コツコツと民法の千条余りの条文をよく読みこむことが必要ですね。
 実務では、法律相談で民法の知識が必要なことが多くこれからの行政書士が民事法の一般法である民法をろくに知らないのに法律実務家とはいえないでしょう。
 民法は、時間がかかります。やはり、毎日のように重要条文を目に触れていないとなかなかマスターできませんよ。


「行政法」攻略ポイント

◆総務省の行政法に関する見解
『従来、行政に関する法令は、行政法と並列に列挙されていた法律(地方自治法、行政手続法等)を除き、すべて「行政法」として出題されていましたが、今回の改正案では、出題範囲を明確化するため、行政に関する法令は「行政法」としてくくった上で出題の中心となる具体的な法律名を明記することとしたものです。なお「中心とする。」としたのは、括弧内に列挙した法律を出題の中心とするものの、その時々で重要な行政に関する法令からの出題を妨げないとの趣旨によるものです。「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」については、この分野からの出題が可能と考えます。』
 このような国の見解の下で、新試験では行政法は行政手続法と行政事件訴訟法の改正からの出題が多くなされようになっています。かっては、行政法は行政手続法と行政不服審査法からの出題が最も可能性が高く、行政事件訴訟法はあまり出題されなかったのです。ところが、司法実務は大きく行政事件の比重を上げつつあります。義務付け訴訟や差し止め訴訟が整備され、原告適格も拡大しつつあります。門前払いは今後ぐっと減少するでしょう。
 例えば、新試験では「訴訟類型」、「処分無効確認訴訟」、「当事者訴訟」などが続出しています。その一方で、依然として「行政行為」などの総論分野からの出題もあります。例えば、行政行為の「認可」が出されましたが、定義のあやふやな受験生は解けなかったと思います。法の文言と解釈がまるで違う分野ですので。
 また、地方自治法も改正が大きかったのと地方の分権の推進がさらに進むので地方自治法も十分な準備が必要です。試験委員の顔ぶれから見てもかなり重視されていくでしょう。
 そして、ついに全面改正された「行政不服審査法」から、平成28年度試験で初めて出題がなされます。審査請求一本主義です。審理員制度や第三者機関設置等等も要注意でしょう。
 なお、行政代執行法や国家賠償法等も出題されます。


「商法」攻略ポイント

・商法は平成19年度行政書士試験より、新会社法からの出題が始まりました。受験生で大幅な得点差がついています。出題数は憲法択一式と同じ5問でした。そのうちの一問は、商法総則・商行為です。
 会社法は条文だけで979条あります。しかも、法務省令への委任が多く、結局それも勉強しないといけません。会社法の制度を一通り学習するだけでも相当数の学習時間が必要になります。それをさらに論点まで突っ込んで学習するのは受験生の限られた時間の中では難しいことです。総則・商行為は司法書士試験程のレベルの問題は出ませんが、勉強しなかった方は捨てていたようです。これでは、まず合格しません。
 ガバナンスなどの法改正が平成26年度にあって、平成28年度からは出題されます。
さらにいうと、行政書士実務家で、企業を相手に仕事をしないことも可能ですが、多くの行政書士実務は中小企業が相手であり、会社法の知識なしでは、売り上げを上げることは非常に困難でしょう。
 会社法は、実務でも重視される科目なので、まず基本的事項をしっかりと押さえてください。
 (なお、手形小切手法・保険法・海商法からは出題されません)


「基礎法学」攻略ポイント

◆総務省の残存理由
『今回の改正案では、法的思考力等の判定になじみやすい基本法を中心に出題法令の限定を行ったものですが、多様な法令を取り扱うことが求められる行政書士の業務の特性に鑑みれば、個別法令の修得に当たり必要となる汎用的な法知識・法的素養の有無を問う観点からの出題は重要であると考えるため、総務省としては、このような出題を想定した分野である「基礎法学」を維持することが適当と考えます。』
 ここで要求されるのは,幅広い法的知識です。刑事法の罪刑法定主義が問われたことがあります。また,裁判と何かという法の適用以前の法的なコモンセンスが必要でもあります。2問だけですが、総務省は,法律を扱う者の最低限の素養としてこの科目を残したのでしょう。
 なお、従来とは少々傾向が変わりつつあります。法学入門的内容になりつつあります。法解釈の方法に限らず、諸法とともに日本法の体系にも突っ込んで学習する必要があります。また、初めて法律を学ぶ方は、まず、法律学独特の分析概念に慣れ親しむことが大切です。


「行政書士の業務に関連する一般知識等」攻略ポイント

(1)「政治・経済・社会」
※総務省の明文化理由は以下の通りです。
『法令関連の業務を中心としつつも、それにとどまらない幅広い領域を活動の場とする行政書士の特質を踏まえれば、行政書士となるに当たっては、政治経済等の現状や動向に対する関心と一定の知識を有していることが望ましいと考えられ、出題分野として「政治・経済・社会」を存続させることは適当であると考えます。』
 この中には当然に時事問題も入ってきます。
(2)「情報通信・個人情報」
※明文化理由です。
 『電磁的記録の作成を含む行政手続オンライン化への対応や、情報化の進展等にともなう個人情報保護の要請はむしろ増大していることから、今回の改正案では情報通信・個人情報保護に関する出題(戸籍法及び住民基本台帳法の関係部分を含む。)を、行政書士の業務に関連する一般知識等において行うことを明確化したところです。』
 この分野は、新制度以前から目だって出題されてきていました。予想されたことでした。
※関連する参考法令
・個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)
・行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律…「行政法」とも関連する
・行政機関の保有する情報の公開に関する法律…「行政法」とも関連する
・不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)
・特定電子メールの送信の適正化等に関する法律
・特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任法)
・電子署名及び認証業務に関する法律
・電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
・犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(通信傍受法)
・個人情報保護に関する条例
上記の総ての法令が、いつ出題されてもおかしくはないでしょう。
(3)「文章理解」
※残存理由です。
『法令関連の業務をはじめとした幅広い場面において書類の作成業務に携わることとなる行政書士の特質を踏まえれば、行政書士となるに当たっては、相当程度の文章作成・読解能力を備えることが必要であると考えられ、出題分野として「文章理解」を存続させることは適当であると考えます。』
 これについては、賛否両論がかなり激しいところでした。しかし、確かに3問はやや多いと思いますが、1〜2問はあってもいいかなとおもいます。
 やはり、新制度になってからずっと、40%の足きりにかかる受験生が多くいます。油断せずに十分な準備が必要です。また、得意不得意がかなりハッキリ出るところなので、得点目標を明確にすることも大切でしょう。
・政治経済社会は高校の政治経済や現代社会のレベルよりはやさしいですが、キチンとやっておきます。
・情報通信・個人情報は範囲がある程度絞れますので、集中的にやります。
・文章理解は、読解力を付けるのはもちろんですが、並べ替えなどの練習は必要です。


「多岐選択式」攻略ポイント

かって、有名なロッキード事件の最高裁判決が出題されたことがありました。その判決要旨は「内閣総理大臣が運輸大臣に対し民間航空会社に特定機種の航空機の選定購入を勧奨するよう働き掛けることは、内閣総理大臣の運輸大臣に対する指示として、賄賂罪の職務行為に当たる。」ということでした。
 行政書士試験では、前述した法的素養を求める試験ですから、このような法律家であれば誰でも知っていなければならない重要判例はこれからもよく出されるでしょう。
 その意味で、新聞に掲載されるような判例は最高裁判例(できれば下級審でも注目を集めたもの)については必ずチェックするように日頃から心がけましょう。
 多岐選択式では、判例も出ますが、テキスト的な記述も出ます。その意味で、断片的な知識では太刀打ちできないのです。しっかりと、テキストを読み込みましょう。
 国語力も要求される試験ですが、対策は「重要判例」と法律専門用語、所謂「キーワード」重視の勉強です。テキストの常用語句は必ずアンダーラインを引きましょう。

なお、第41問から第46問の新出題形式では、憲法:行政法:民法=1:3:2の比率で出題されます。
この比率は、今後とも維持される可能性が高いですが、固定するとは当局は全く言っていないので、商法等も司法書士試験では問題数が増えたりしており、しかも、行政書士実務でますます企業経営に関与する割合が事業承継業務等で増えていますので、商法が新形式に入ってもおかしくありません。


「記述式」攻略ポイント

この形式の一番のポイントは、やはり 40字にあると言っていいでしょう。短いのに内容が盛り込まれないといけないというちょっと厄介な字数形式です。
例えば平成21年の44問を見てみましょう。
問題44 Xは、外務大臣に対して旅券の発給を申請したが拒否処分をうけたため、取消訴訟を提起した。これについて、裁判所は、旅券法により義務づけられた理由の提示が不充分であるとして、請求を認容する判決をなし、これが確定した。この場合、行政事件訴訟法によれば、外務大臣は、判決のどのような効力により、どのような対応を義務づけられるか。40字程度で記述しなさい。
 標準的な解答としては、この判決の効力として、処分のやり直しをしなければならなくなりますから(行政事件訴訟法33条参照)、 
 「取消判決の拘束力により、当該判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をすべきである。」(43字)
  となるでしょう。
 大体38字位〜45字位で記述するといいでしょう。
 この出題形式については、受験生は相当練習が必要です。穴埋めでない記述です。一定の文章力が必要となり、40字位で法的問題の解答をできるようにトレーニングする必要があるのです。
 ここでも対策は、キーワード重視の勉強ですね。それと、民法も含めて、事例が出ますので、ある程度の演習問題の解答を記述で答えられるようにすることが必要です。


「合否判定基準」

行政書士試験センターの公表によれば、「合格基準」は、 次の要件のいずれも満たした者が合格となります。
(1) 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50パーセント以上である者。
(2)  行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント以上である者。
(3)  試験全体の得点が、満点の60パーセント以上である者。
(注)合格基準については、問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることもあります。

これに配点を加えてみてみましょう。
・法令等
  択一式
   五肢択一式 40問 160点(1問4点×40)
   多肢選択式 3問 24点(1問8点×3 空欄1つ2点)
  記述式 3問 60点(1問20点×3)
  計 46問 244点

・一般知識等
  択一式  五肢択一式 14問 56点(1問4点×14)
  合 計 60問 300点

配点での合格基準 ⇒法令等科目122点以上かつ一般知識等24点以上かつ全体得点180点以上です。

 一般知識等の比重は18%程度になっています。特筆すべきは、記述の配点の高さです。法令等では25パーセント、全体でも20パーセントの比重になっています。
 法律家の文章力の大切さを考えれば当然でしょう。試験の性格は大きく変わったといえます。新行政書士試験は「法律家の入門試験」なのです。


バナースペース

中川総合法務オフィス

〒617-0812
京都府長岡京市長法寺川原谷13-6

TEL 075-955-0307
FAX 075-955-0214